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発掘!未公開映画研究所『俺たちスーパー・ポリティシャン めざせ下院議員!』アメリカの選挙戦の笑えない笑える話

発掘!未公開映画研究所『俺たちスーパー・ポリティシャン めざせ下院議員!』アメリカの選挙戦の笑えない笑える話

作品情報

タラデガ・ナイト オーバルの狼』『ユーロビジョン歌合戦 〜ファイア・サーガ物語〜』のウィル・フェレルと『トゥルー・コーリング』『ビトウィーン・トゥ・ファーンズ:ザ・ムービー』のザック・ガリフィアナキスが共演し、下院議員選挙の候補者たちが巻き起こす騒動を描いたコメディドラマ。共演には『遠距離恋愛 彼女の決断』『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』のジェイソン・サダイキス、『ハリウッド』『パーティ・モンスター』のディラン・マクダーモット、『女神の見えざる手』『ピッチ・パーフェクト ラストステージ』のジョン・リスゴー、『ハサミを持って突っ走る』『ピクセル』のブライアン・コックスなど。2012年、ノースカロライナ州の下院議員ブレイディは再選を狙っていたが、選挙前に人妻との不倫が発覚し支持率が急降下してしまう。ブレイディを支援してきた富豪の実業家モッチ兄弟は彼を見捨て、お人好しの新人ハギンズを対立候補に仕立てあげる。強力な選挙アドバイザーのおかげで徐々に人気を獲得していくハギンズに焦りを感じたブレイディは、様々な手でハギンズを妨害しようとするが……。『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』『スキャンダル』のジェイ・ローチ監督がメガホンをとった。

発掘!未公開映画研究所とは?

宗教性の問題、出演者の知名度、お笑いの感覚の違い…などなどの理由によって、日本では公開にいたらない作品が多く存在する。アカデミー賞にノミネートされている作品でも未公開作品は多い。

それもそうだろう、逆にアメリカやフランスで日本の映画が何でも公開されていると言えばそんなわけもなく、全体的に見て1割にも満たないだろう。

日本はそんな中でも割と海外の作品を公開している珍しい国であって、そんな中でもやっぱり公開されない映画というのは山のように存在する。

「発掘!未公開映画研究所」はそんな映画を発掘していくというもので、その中でも更に知名度が低いものを扱っていくつもりだが、必ずしも良作ばかりではない、中には内容がひど過ぎて公開できなかったものもあるのでご注意を!!

今回紹介するのは『俺たちスーパー・ポリティシャン めざせ下院議員!』

短評

パパVS新しいパパ2』『バイス』『ハスラーズ』のウィル・フェレル&アダム・マッケイのコンビが製作、『スキャンダル』のジェイ・ローチが監督ということで、政治色が強いことは言うまもなく、その他にも政治臭がプンプンするコメディを多く手掛けているスタッフが結集している。

『アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!』(2010)や『俺たちニュースキャスター 史上最低!?の視聴率バトルinニューヨーク』(2013)のようにテーマとしては別にありながら、感覚的に政治的な部分を描いてきてはいたが、堂々と直接的に政治的な部分を表に出してきたのは、正にこの頃からだ。

アメリカの田舎ノースカロライナ州の共和党下院議員選挙戦をモデルに、候補者同士の足の引っ張り合い、家族を巻き込んだ中傷合戦を、下ネタと社会風刺で描いてコメディであり、当然ながら誇張はされているものの、全面的に否定できない部分が多すぎて、笑っていいのか悪いのかがわからなくなってしまう。

選挙戦を繰り広げるものの、公約よりも相手の悪口や荒探しというのが、アメリカ選挙の特徴をよく捉えていて、 国民や市民の想いというのは反映されず、あくまで数字でしかない。映画を観終わった後で、この主人公2人の公約はなんだったのかというと思い出せないのだ。それほど劇中では、重要視されて描かれていない。

「アメリカ・自由・キリスト」と言っていれば良い、銃を持って鹿狩りをしていれば票を得られるという、国民をバカにしたような、内々の揉め事のようなアメリカ選挙を皮肉ってみせてはいるのだが、実際は「そうではない」と言えないところが恐ろしい。

全体的なモデルとしては、ブッシュを連想させるが、セックス・スキャンダルで地に落ちたイメージを回復いるために奮闘するものの、泥沼化していくという内容は、いくらかアンソニー・ウィーナーもモデルにしている部分もあるような気がしてならない。

初めは人々がよりよい生活が送れるように政治家になったはずが、いつしか政治界に毒され、本来の目的を失ってしまった男が、本当に大切なのに気づくという王道的な感動ストーリーも含まれているが、選挙戦の毒が強すぎて、直には感動できない。

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