作品情報
集団遭難事故をリアルに描いた『エベレスト 3D』のバルタザール・コルマウクル監督が、巨大ハリケーンによりヨットが大破し太平洋を漂流した婚約者カップルの実話を映画化。1983年、婚約したばかりのタミーとリチャードは、タヒチからサンディエゴへヨットでの旅に出る。出発から2週間後、記録的なハリケーンが襲い、2人の乗ったヨットは巨大津波に飲み込まれてしまう。ヨットは操縦不能となり、無線もつながらない、そしてリチャードは大けがを負い瀕死の状態にあった。最悪の状況で、タミーはセーリングの知識を総動員し3200キロ先にある陸を目指すが……。主人公タミー役を「ダイバージェント」シリーズのシャイリーン・ウッドリー、婚約者リチャード役を『あと1センチの恋』『世界一キライなあなたに』のサム・クラフリンがそれぞれ演じる。
『アドリフト 41日間の漂流』レビュー
恋愛映画としても観るか、漂流パニック映画として観るかで評価は分かれる作品である。漂流パニック、海洋パニックを創造している人にとっては物足りないかもしれない。
主演のシャイリーン・ウッドリーは、典型的なアメリカ人らしいがっちりした体系でアメリカの等身大女子だ。おばさんになったら家の庭でレモネードでも飲んでおしゃべりしてそうだ。
そんな等身大女子が自分探しで転々としている設定は、共感を得られるのではないだろうか。
実話ベースの作品の場合、美人女優を使うより、等身大女子的な女優を使うほうがリアリティが増すのも事実。
角度では美人にみえるが、時々ぱんぱんに剥くんでいるのも個人的には好感がもてる。『ランボー 最後の戦場』のスタローンのような姿のたくましさも素晴らしい。そこに共感でる人にとっては、今回シャイリーンの様々な表情が観られて良いかもしれない。
実話がベースとなっているため、漂流後のストーリー展開は単調であるし、サメに襲われることもない。何より邦題で何日後に助かるかがわかってしまっているため、あと残り〇日だから、この残りの食糧なら…と計算できてしまうところが逆に不親切で、緊張感が和らいでしまっているから、そこは教えてくれない方がよかった。
実話だからこそ手を加えられない部分というのがあって、それが映画としての娯楽性を奪ってしまっていることで、この映画で何を観るかというと、恋愛シーンである。
世界を旅してきて、まだまだ旅を続けたい自分探し真っ最中な男女が他国で運命的に出会い、幸せに満ちていたはずが、待ち受ける残酷な現実によって、出会ったことが自分にとって、相手にとって、よかったのかということ回想していく。
これが長年連れ添ってきた相手であれば、また違った物語になったかもしれないが、出会ってまだ半年ほどしか経っていないタミーとリチャードにとっては、自分と出会ってしまったことで、自分が選択してしまったことで相手を危険にさらしてしまったのかもしれないけど、それでも「出会ってよかった」と答えを出すために、与えられた時間が41日ということなのだ。
はじめに、恋愛映画としても観るか、漂流パニック映画として観るかで評価は分かれるといったのは、そういうことだ。
点数 70点
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